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2003年11月 ソンドウ・ミリウ物語 (3) 第3話 大学生ジャレッドの話

ジョモケニアッタ農工大学1年生の今ジャレッドは、1981年生まれの22歳 です。私の事務所では水力発電所事業で土地売買に関係した地主の子 供で、事務所に隣接するツルデイブオロ中学校で成績の良い学生を、学 費を貯められるよう大学に行く前の1年間アルバイトで雇っています。

2002年7月から事務所でコピー取りや電話番をして、2003年4月に大学へ 入学しました。ジャレッドの話を聞いたところ地元の生活の一部が見えまし た。

ケニアの学校制度は小学校8年間、中学校4年間で、中学4年生の全国 一斉試験の結果で希望大学へ入学申請書を出し大学側が学生を選択し 入学が決まります。一斉試験が中学4年生の11月にあり中学校を卒業し、 翌々年の4月―10月に入学します。この1年半の待ち時間が長いのが学 生には可哀想です。日本みたいに何でもアルバイトがあれば良いのです が、ケニアでは一般の人が職が無くて困っているので学生はぼんやりと待 つしかないもったいない時間です。大学は4年か5年間です。大学でストや デモがあるとすぐ学校が閉鎖になるので卒業が予定通りの期間で卒業でき ないようです。

ジャレッドはムグラ中学1年生の3学期に学費不足で退学(ドッロプアウト) したそうです。1999年水力発電事業が始まりジャレッドの両親が持ってい た土地が事業者の宿舎用地として買収されました。両親はこの土地代の一 部をジャレッドの学費に使用して、2年間のブランクの後でツルデイブオロ 中学校の2年生に復学したそうです。両親は近くの土地に移転し、ジャレッ ドは事務所に近い祖父の家に住んで事務所へ働きに来ました。彼の両親 の新しい家はトタン屋根になり雨漏りがしなくなったと書いています。

ジャレッドの両親は父55歳と母50歳でしたが、2003年4月に彼が入学す ると同時に相次いで病気で亡くなられました。彼は事務所で働いていた時 毎月貯金にしていたお金を使って葬式の準備をしていました。本当にかわ いそうでした。

でも両親の不幸にもめげず、日本政府が人作り援助の一つとして長らく援 助して入るジョモケニアッタ農工大学で勉強しています。もうすぐ1年生の 授業が終わるので、現場事務所に1月から3ヶ月間実修生として来て、緑 化推進や構造物の設計、プロジェクトマネージメントを勉強したいとケニア 電力会社へ申請し許可されています。町の生活に慣れて田舎に帰ってこ ない学生がいるのに、ここに帰ってくるのがうれしいです。

ジャレッドは大学を卒業して職に就いて、三菱パジェロのデラックスを買う のが彼の夢だと語っていました。また技術者になり水力発電所の運転につ きたいとも話していました。辛抱強い学生だから良い社会人になるのではと 期待しています。

                                        続く