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ナイロビ沼の女主の話 (母国語と結婚編)
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(離婚編へ続く)
結 婚

日本と大きく違うところは、戸籍を国が管理していない、戸籍制度が確 立されていないことです。家族というものは、個人の管理下にあり、そ の分血の流れと言うものに必要以上にこだわるところがあるようです。 ケニアの結婚形態について、私独自の見方で分類してみました。

(1) お披露目婚

両家了解のもとに友人、隣近所を呼んで結婚したことを披露する。ケ ニアの結婚というと多くはこの事を指しているようです。

これは、まず両家の両親が結婚していなくてはなりません。ここでいう 結婚とはドゥワリ(何語不明です。キクユ族が使っている名称です。婿 家から嫁家にそれ相当の品物が贈呈される儀式のこと。田舎では、牛 、羊等10,000円相当が多い)という儀式が行われたか否かであり、両 親がこの儀式を済ませていないと子どもはこの形式での結婚は出来ま せん。

時々、老夫婦の結婚式の報道があります。それは、はれてドゥワリが成 立し、結婚出来たと言うことです。Pre-weddingという日本での婚約式 に相当するハランべー(寄付金集め)も行われるようになりました。時と して、結婚資金が足りなくなってこれで終るケースもあります。

このお披露目婚日の朝、婿家遺族は嫁家一族の家に来て、ドゥワリの 量を審議します。事前打ち合わせがあるにもかかわらず嫁側がその量 に対して不服を申し立てることが大いにあります。

お披露目の当日、この婚姻は破談かと思わせますが、だいたいが交渉 成立。その調停役をするのが、嫁側の近所の長老です。集まった人は 、その調停が終了するまで不平を言うこともなくじっと待ちます。

私が同席したケースは、第三者から見るとどうもその破談になりそうな スリルを味わって、長老のおかげでめでたし、めでたし…とう美談を作 っているとしか思えませんでしたが、ご当人達は、大まじめでした。

お祭りという行事が無くなってしまったケニアでの話題提供の行事とし てはこれでいいのかもしれません。ドゥワリが成立すると、はれてお披 露目婚の宴会となります。この時、初々しい夫婦もいますが、大方は老 夫婦の結婚まで待っていたわけですからかなり年季の入った夫婦もい ます。子持ちのお披露目婚というケースもめずらしくありません。

これで、一応結婚が成立しますが、法的には何ら拘束を受けない習慣 法と言ってよいようです。ドゥワリを行っているので離婚は難しくなりま す(『離婚』編をお楽しみに)。一夫一婦性の宣誓と考えてもいいかもし れませんね。

(2) なしくずし婚

男と女が1つの家で家財道具を共有し始めた時、結婚という表現をとり ます。同棲というという表現はケニアにはないようです。同じ部族同士 であれば問題視されません。お披露目婚の前段階と考えればよいの でしょう。2人で親戚、友人を訪ねるたびに、夫婦であるとことを知らせ ればよいのです。両親も同じような過程を通っているので、両家及び 親戚に正々堂々と出入りできます。勿論、2人の間に出来た子どもは、 両家の一員として認められます。一夫多妻性のなごりかもしれません。

しかし、部族が違う場合は、そう簡単には認められないケースが多いよ うです。何年も結婚しているのに互いの両親の家には行った事がない というカップルもおります。部族違いの結婚より、外国人(インド、パキ スタン系を除く)との結婚の方が、楽かもしれません。ケニア人からした ら『かもがネギしょってやってくる』ってところかな??。何はともわれ外 国人には非常に寛容です。

(3) 法的な結婚

結婚届は、法務省の直接管轄下になっております。子どもの出生証明 もそうです。

法務省の裁判官の目の前で、本人、保証(立会)人が結婚証明書に署 名をするものです。とりあえず、裁判官が、『汝は…』という誓いの言葉 をのべ、新郎新婦が互いに述べ合い、指輪の交換をして、各々サイン をして、2通用意されるオリジナルの一方は当人に、もう一方を法務省 に残し、30分程で式は終了します。当人と法務省に保管するのであっ て、法務省に登記されるわけではないようです。

法務省では、どんな服装でもいいわけですので、極端にいえばジーパ ンでもOK。最近は、法務省から認定された教会の牧師さんが、裁判 官の役を代行しています。ウェディングドレスにあこがれる若者が教会 で式をあげるケースが増えてきました(教会で式を挙げることイコール 法的な結婚は半数くらいでしょうか)。

(私の場合)

法務省に行って結婚の申告希望日(2週後以降)及び立会人等を申 請。定めらた日に法務省に立会人と共に行くと写真を撮るか否か聞か れたが(有料)、お断りした。しかし、定刻になっても、Jの立会人(女) が現れず、いたしかたなく、ビルの外にいた女性ににわか立会人を依 頼した。

私は、裁判官の言っている事が余り理解できなかったが、とりあえず聞 き取れた言葉を適当につなぎ合わせて宣誓した記憶がある。裁判官 から訂正もされず(あきれていたかも)とりあえず式は終了し、バス停に 向かっていた私たちの前方から、いやに着飾った女性が来ると思った らまさしくJのいとこ。『アフリカ〜』と思う私、お茶でも飲むかの一言も口 に出ないJ。簡単すぎるほどのケニア式結婚であった。

(4) 国際結婚

国際結婚が結構多いケニアです。ケニアにおける結婚形態は非常に 簡単なのですが、戸籍制度が確立している外国人の場合、これはあく までケニア国内での結婚で国際結婚としてはまだ成立していません。

この段階でしたら重婚も可能です。国際結婚として成立させるには、法 的な結婚を行った後、その証明書を在ケニア○○大使館に持ち込む か、自国に送付して市町村で受け付けてもらう必要があります。

また、この証明書によりケニア国入国管理事務所では、家族単位のフ ァイルを編纂し、外国人の就労許可の認定に若干有利となり、また、女 性の場合、外国人就労者にかせられる保証金も免除されます。
(離婚編へ続く)予定